ソーラーパネルの雑草問題。雑草対策・予防におすすめの方法とは

- プラスチック敷板
近年、屋外にソーラーパネルを設置している企業が増えていますが、ソーラーパネル設置後、「雑草でパネルが隠れてしまった」「ツタが巻き付いて発電できなくなった」などの課題が出てきます。今回は雑草についての対策や予防方法をご紹介します。
太陽光発電事業とは
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気に変換する発電方法です。日本の累積導入数は、中国、アメリカに次ぐ世界第3位です。
太陽光発電事業は、太陽光発電システムで充電した電気を売電することで収益を得る事業です。国が定めた法律「固定価格買取制度(FIT)」に基づいて行われます。FITは、太陽光で発電した電気を電力会社が一定の金額で買い取ることを義務付けた法律です。東日本大震災後の2012年に施行されました。FIT売電価格は年々下がっていますが、設置費用も下がってきています。

太陽光発電の種類
住宅用太陽光発電と、産業用太陽光発電の2つに分けることができます。それぞれの発電設備の特徴は以下の通りです。
システムの容量 | 設置場所 | FIT買取期間*1 | 設置費用 | |
住宅用太陽光発電 | 10kW未満 | 自宅の屋根の上 | 10年間 | 100万円〜300万円程度 |
産業用(事業用)太陽光発電 | 10kW以上 | ビルの屋上や空き地、沿岸部など | 20年間 | 1000万円〜2,000万円*2 |
*2 設置場所が様々なので、ソーラーパネルや架台などが特注品になり、割高になる。
太陽光パネル運営従事者のお困りごと
野立てに太陽光発電設備を持っている。できる限り自分でメンテナンスがしたいが、どのようにすれば良いのか。
メンテナンスの義務化
2017年に施行された改正FIT法では、メンテナンスの義務化が盛り込まれました。投資として太陽光発電を導入する人が増える中で、雑草の処理が不十分などのメンテナンスや管理不足による問題が多発し、義務化となりました。「適切な保守管理・維持管理を行うこと」に該当しなければ、認定取り消しや運転停止になる可能性があります。
メンテナンスには、以下の3つが含まれます。
- 運営従事者による日常点検(パネルに影はないか目視、接続箱やパワコンに汚れや腐食、エラーメッセージなどはないか、自然災害、積雪の後などに確認)
- 雑草対策
- 業者が行う定期的なパネルや機械の点検
この記事では、野立て太陽光発電設備の「2.雑草対策」についてさらに詳しく見ていきます。
雑草対策を怠ると生じる問題
雑草を生やしっぱなしにしておくと、具体的に以下のような問題が生じます。
- 草が生い茂ると発電に支障をきたし、収益の減少につながります。ツタなどに絡みつかれてパネルが日陰になると、その部分が発電しなくなってしまいます。
- 長期間雑草の影がそのままになってしまうと、影になった部分が熱を持ち発火につながることがあります。これを「ホットスポット現象」と呼びます。雑草が原因のホットスポット現象は製品保証の対象外となり、故障した場合の修理・交換費用は自己負担となってしまいます。
- パワコンの中に雑草が入り込むと、ショートして火災が発生する可能性があります。
- 雑草が高く伸びてしまうと、ネズミやへびなどの動物の棲家になることがあります。配線を噛み、漏電や火災の原因になる可能性があります。

課題の解決策とは?
以上のような問題が発生するのを避けるために、雑草対策は太陽光発電従事者にとって必須と言えます。では、どのような対策方法があるのでしょうか。
1、草刈りをする
費用:(草刈り業者に依頼する場合)1㎡あたり約100~200円。
(自力で草刈りをする場合)業務用草刈機が10〜20万円+「刈払機取扱作業者」の資格取得約1万円
注意ポイント
- 最低でも年に4回は行わなければならない。1㎡あたり150円で外注したとすれば、年に4回20年間行うことを考えると、1㎡あたり150円×4回×20年間=12000円かかる。
- 自力でする場合、誤って電線を切断してしまうことがある。その場合、システム全体が止まってしまうわけではないが、大きな利益損失になる。
2、防草シートを敷く
雑草が生えてくるのを防ぐシートで、光を遮断させることで植物が成長しにくくなります。

費用:(一層構造シートの場合)1㎡あたり100円
(二層構造シートの場合)1㎡あたり3,000円
注意ポイント
- 経年劣化するため、数年で交換する必要がある。耐久年数は、一層構造シートの場合2〜3年、二層構造シートの場合は10年ほど。
- シート同士に隙間があると、そこから雑草が伸びてきてしまう可能性がある。
- 安いものを選ぶと防草シートを突き破って草が生えることがある。
- 台風などで捲れ上がることもある。
3、除草剤をまく
すでに生えている雑草にかけるタイプと、これから生えてくる雑草を予防する2種類があります。
費用:1㎡あたり約100〜300円
注意ポイント
- 年に2〜3回程度、除草剤を散布する必要がある。
- 除草剤の種類によって、快晴の日や雨の後など、適切な散布タイミングがある。
- 近隣住民への影響があり、クレームが入る場合がある。特に近くで農業を営んでいらっしゃる方がいると注意が必要。
4、コンクリートで土地を覆う
太陽光パネルの下全体をコンクリートで覆って雑草を抑制します。一度コンクリートで覆ってしまえば、その後のメンテナンスはほとんど必要ありません。
費用:1㎡あたり約1万円
注意ポイント
- 他の対策と比べてコストが大きい
- コンクリートの隙間などから雑草が生えることはある。
- 夏場はコンクリートの照り返しでパネルが高温になり、発電効率が落ちる可能性がある。
- 太陽光発電投資が終わった後の土地利用が限られる。
5、砂利を敷く
太陽光パネルの下全体に砂利を敷き、雑草が生えるのを抑制する方法です。
費用:(3cm敷く場合)1㎡あたり約6000円
注意ポイント
- 砂利だけでは草は生えてくるので、防草シートとの併用が望ましい。
- 夏場は地面が高温になり、発電効率が落ちる可能性がある。
6、プラスチック敷板を敷く
プラスチック敷板とは、ポリエチレンで作られており、敷鉄板やゴムマットの代用として使われています。ぬかるみ対策としても使用されているので、太陽光発電パネルの下が水はけが悪い場合などでも利用できます。定期点検のために車の乗り入れがある場所や、パネルの下に車などを置く場合にも敷くことができます。

費用:1㎡あたり約5000円
注意ポイント
- 自力で搬入が可能だが、枚数が多いため搬入作業が大変になる。
- 専用金具などで固定する必要がある。
太陽光パネルの雑草対策としてプラスチック敷板を利用している事例はこちら↓
まとめ
いかがだったでしょうか。
この記事では、太陽光発電設備のメンテナンスが義務化されたこと、パネル下の雑草対策をしないと生じる問題、雑草対策を6種類お伝えしました。
土地の性質やご自身の手間や労力、コストなどを考慮して、最適な対策をご検討ください。